外壁は年月とともに劣化していきますが、ひび割れも外壁に発生する劣化症状の1つです。
初めてひび割れを発見した場合、慌ててしまうこともあるかもしれませ。
しかし、ひび割れの種類によって緊急度や重要度が異なります。
この記事ではひび割れの種類やひび割れの原因、ひび割れの補修方法について解説します。
外壁のひび割れ(クラック)の種類
ひび割れには主に「構造クラック」と「ヘアークラック」の2種類があります。
両者は補修の緊急度が違いますので、まずは外壁のひび割れがどちらのクラックに該当するか、判断が必要です。
ヘアークラック
ヘアークラックは幅0.2mm以下の細い軽微なクラックです。
髪の毛のように細いことから「ヘアークラック」と呼ばれています。
ヘアークラックは外壁塗装や外壁材の乾燥収縮によって起こり、モルタル壁やコンクリート壁にはつきものと言えるひび割れです。
ヘアークラックはひびが外壁の下地にまでは達していないため、今すぐ補修をしなければならないという訳ではありません。
構造クラック
構造クラックは幅0.3mm以上、深さ5mm以上の比較的大きなひび割れです。
構造クラックはひび割れから雨水が外壁内部に侵入して、外壁材や家の内部にダメージを与えることがあります。
構造クラックが見つかったら早めに専門業者に点検を依頼し、必要に応じて補修する必要があります。
特に幅1mmを超えるクラックの場合は下地や構造部分も点検し、必要な補修について専門業者から提案を受けるようにしましょう。
構造クラックは形状でも危険度が異なる
「垂直水平ひび割れ」
建物は基本的には垂直と水平の構造体で作られています。
これら垂直水平に平行して発生した構造クラックは危険度は比較的少ない傾向があります。
建物の重力や地震などの揺れを吸収した際にひび割れが生じることもあり、早めに補修すれば特に大きな問題に発展しない可能性が高いと言えるでしょう。
「斜めひび割れ」
ひび割れが斜めに入った時は要注意です。
斜めのひび割れは建物の構造バランスが悪くなっている可能性があります。
もし、実際に建物のバランスが崩れていると別の場所でも同じようなひび割れが発生しやすくなります。
斜めひび割れが発生した場合は、ひび割れの補修と共に建物の耐震補強も検討した方が良いでしょう。
「バッテンひび割れ」
さらにひび割れがクロスしたバッテンひび割れの場合、危険性が高い構造クラックであると言えます。
バッテンひび割れは大地震の時に良く発生するひび割れで、バッテンひび割れが起こっていると建物に根本的に問題がある可能性が高く、耐震補強も大規模なものが必要となり、場合によっては改築が必要になることもあります。
ひび割れが起こる原因
経年劣化
外壁のひび割れで最も起こりやすいのが経年劣化によるクラックです。
外壁は紫外線や風雨に毎日さらされています。
外壁塗料は紫外線により劣化していきますので、劣化によりひび割れが起こることがあります。
外壁塗装をしてからある程度の年月が経ってからのひび割れは経年劣化が原因と考えて良いでしょう。
振動
大きな車両や車の往来が激しい場所では道路の振動が地面を伝って建物を揺らし、ひび割れの原因となることがあります。
特に建物が往来の激しい道路や線路の近くにある場合は振動を受けやすいため、ひび割れが起こりやすくなります。
地震
地震でもひび割れが発生することがあります。
地震の揺れによって外壁に力が加わり、その力に耐え切れずにひび割れを引き起こします。
サイディング外壁ではサイディングボードのつなぎ目のコーキングがある程度揺れを吸収してくれますが、コーキングが揺れに耐え切れなかった場合にはひび割れが起こる可能性があります。
住まいの環境
地盤や建物の構造が原因でひび割れが起こることもあります。
施工不良
まれに施工不調でひび割れが起こる場合もあります。
塗料の乾燥不足や塗料の選択ミスなどにより、外壁の剥がれやひび割れが起こる可能性があります。
もし、外壁塗装をしてから2~3年と早い時期に地震などの原因がなくひび割れが起こった場合、施工不良の可能性が考えられます。
施工不良は保証期間内であれば、無料で補修してもらえますので、保証内容は事前にしっかりとチェックしておきましょう。
ひび割れの補修は業者に依頼しましょう
ひび割れの補修は業者に依頼するのが基本です。
「小さいヒビだから」とDIYで修理するのは避けた方が無難です。
ひびの状態によっては雨水侵入リスクもあり、簡単な補修では十分でない場合もあるからです。
外壁の劣化やひび割れは単に美観を損なうだけでなく、家の内部構造への雨水侵入リスクがあり、もし雨漏りにより家の構造体が腐食してしまうと高額な補修費用がかかってしまうこともあります。
ひび割れの状態はプロが見て適切な補修を行った方が確実です。
外壁のひび割れ補修の手順
外壁のひび割れ補修では主に「シール充填工法」と「Uカットシール工法」の2種類があります。
一般的にシール充填工法はひび割れがそれほど深刻でない場合、Uカットシール工法はひび割れが比較的大きい場合に用います。
シール充填工法
シール充填工法はクラックの幅が0.2mm以下の深刻でないひびの補修で行う方法です。
①シーリング材の充填
クラックにシーリング材を充填して埋めます。
②塗装
クラックにシーリング材を埋めたら塗装して外観を整えます。
周辺の外壁の色と差が出ないよう、色を調節してから塗装します。
Uカットシール工法
Uカットシール工法は0.3mm以上のクラック幅の場合に使われます。
クラックの幅が広いため、クラックの再発を防ぐためにあらかじめ補修箇所の形を整えます。
①クラック部分を整える
クラック部分を電動カッターなどで整えます。
クラックはU字にカットし、カットした箇所は刷毛を使って綺麗に掃除をします。
②プライマーの塗布
カットした部分にプライマーという下塗り材を塗ります。
③シーリング材の充填
プライマーが乾燥したらシーリング材を充填します。
④塗装
最後に外壁塗装をして表面を整えます。
補修箇所が広い場合、外壁全体の塗り直しをすることもあります。
ひび割れを見つけたらまずは業者にご相談を
外壁のひび割れについてご紹介しました。
外壁にひび割れが起こった場合、自己判断せずに早めに業者に診断してもらい、適切な補修方法を提案してもらうのがおすすめです。