外壁塗装のメインの工程といえば外壁の外観を決める上塗り塗料を塗装する工程ですが、実は塗料を塗るのと同じくらい下地処理の工程が重要となります。
ここでは、外壁塗装の下地処理の役割や施工方法について解説します。
外壁塗装の工程
外壁塗装の工程は一般的に以下のような流れで行います。
1~2日目:足場設置
3日目:高圧洗浄
4日目:養生
5~6日目:下地処理
7~8日目:下塗り
9~10日目:中塗り
11~12日目:上塗り
13日目:立ち合い・引き渡し
14日目:足場解体・撤収
外壁塗装の工事期間は一般的な戸建て住宅で2週間程度です。
ただし、天候や外壁の傷み具合により工期が長くなることがあります。
下地処理は足場を設置したあと、塗装工程の前に行います。
外壁塗装・屋根塗装をきれいに仕上げるためには下地処理が重要
下地処理は外壁に付着しているゴミや錆び、浮いた塗膜などを高圧洗浄器で洗い流し、ひび割れを補修したり錆びなどを取り除いたりする作業です。
汚れや錆び、浮いた塗膜が付いた外壁の上からそのまま外壁塗装を行うと、塗料が外壁にうまく密着することができずに数年で塗膜の剥がれや、施工不良が起こる可能性があります。
外壁塗装を長持ちさせるためにも下地処理は重要な工程となります。
下地処理が不十分だと起こる不具合
下地処理をしっかりと行っていないと次のような不具合が起こり、塗膜の耐久性を低下させてしまいます。
ひび割れの再発
ひび割れの補修を行わずに外壁塗装を行ってしまうと、塗料がひび割れに追随できなくなり、やがて割れてしまいます。
軽微なひび割れでも放置すると大きなひび割れになってしまう可能性があり、建物の寿命にも影響を及ぼしますので、外壁塗装のタイミングでしっかり補修しておく必要があります。
錆びの再発
錆びを下地処理で取り除かずに上から塗装してしまった場合、時間が経って同じ場所に再び錆びが発生してしまいます。
錆びが残った状態では外壁塗装も長持ちせず、塗料の耐用年数が経過する前に塗膜の剥がれなどの不具合が起こる可能性があります。
塗膜の浮き・剥がれ
外壁の汚れの除去が十分でなかった場合、下地に塗料が密着できずに数年で剥がれてしまう場合があります。
また、高圧洗浄後に十分外壁を乾燥させないまま塗装した場合や、塗料メーカーが指定する乾燥時間を守らずに塗装した場合も閉じ込められた水分が蒸発し、塗膜の浮きの原因となります。
外壁塗装の下地処理の施工方法
外壁塗装の下地処理には高圧洗浄、ひび割れ補修、ケレン、シーリング補修、目止めがあります。
高圧洗浄
高圧洗浄は外壁の表面に付着したホコリや古い塗膜、カビ、苔、汚れ、チョーキングの粉などを洗い流す外壁塗装の工程のなかでも重要な作業です。
高圧洗浄器を使い、外壁表面を水洗いして汚れを洗い流したり古い塗膜を水流で飛ばしたりして取り除きます。
高圧洗浄は外壁の傷みの有無を問わず行い、ほとんどの場合1日で完了します。
ひび割れ補修
外壁にひび割れがある場合、ひび割れを補修する必要があります。
ひび割れをカッターなどでV字に削り、表面をきれいにします。
その後ひび割れ部分のゴミを刷毛などで落とします。
ひび割れ部分にプライマーを塗布し、シーリングを充填してひび割れを埋め、ヘラで平らにします。
この上からモルタルで表面を埋め、平らにしたあとに外壁塗装で表面を保護します。
ケレン
住宅には鉄でできている部分がありますが、この鉄部の錆びを除去する作業をケレンと言います。
錆びた鉄部は劣化した塗装が剥がれたり膨れたりしている状態になっていることが多くありますが、これをケレン工具を使って除去します。
さらに、ワイヤーブラシやサンドペーパーを使って表面を削り、錆びを除去します。
削りカスが付いたままでは塗料の密着性が悪くなってしまうため、ウエスを使って表面の汚れを取り除きます。
シーリング補修
シーリングとは、サイディングやALCの外壁などにある目地でコーキングとも呼ばれています。
シーリングはゴムのような柔軟性のある素材で、外壁材の動きに追随し、地震などによる揺れを緩和させる役割を持っています。
しかし、シーリングが紫外線により劣化すると柔軟性がなくなり、ひび割れを起こしたり外壁材から剥がれたりしますので、定期的な補修が必要です。
シーリングの補修方法には「打ち替え」と「打ち増し」があります。
打ち替えは古いシーリングをすべて取り除き、新しいシーリングを補填する方法です。
打ち増しは今あるシーリング材の上から新しいシーリングを補填します。
打ち増しの場合、既存のシーリングと相性が悪い場合もありますので、一般的には打ち替えがおすすめです。
目止め
外壁塗装工事の際、素地の表面が粗い場合や微細な穴があるときに、下塗り材を塗る前に目止め材で表面を平滑にすることがあります。
目止め塗装をすることで下塗り塗装が素地に吸い込まれすぎるのを防いだり、密着させやすくしたりします。
特にリシン壁のような塗料の吸い込みが激しい壁では目止めが必要です。
目止め材には水溶性のタイプや油に強いタイプなど種類がいくつかありますが、素地の種類や劣化具合、厚みなどを考慮して最適なものを選びます。
外壁の傷み具合によっては下地処理の工程が長くなる
外壁の傷みが激しく、補修する箇所が多いと下地処理の工程も長くなる傾向があります。
通常1日程度で下地処理が終わるところ、2~3日かかる場合もありますので、現地調査の際に外壁の状態をしっかりチェックしてもらい、下地処理にどれくらいかかりそうか確認してもらうと安心です。
また、下地処理の工程を少なくするには、外壁塗装を定期的に行い、劣化を放置しないでおくことも大切です。
下地処理は重要な作業
下地処理は外壁塗装のなかでも重要性の高い作業です。下地処理を怠ると施工不良を起こすことがありますので丁寧に行う必要があります。
しかし、下地処理は悪徳業者に手抜きされやすい工程でもありますので、見積もりの際に下地処理の工程については確認しておくと良いでしょう。
また、ひび割れなど、気になる箇所がある場合は事前に業者に補修を行ってもらえるよう、相談しておくと安心です。