屋根は住宅のなかでも紫外線や風雨が最も当たる過酷な環境にあり劣化しやすいため、定期的な塗り替えが必要です。
しかし、外から見えにくいため、劣化に気づきにくい場所でもあります。
このページでは、屋根塗装の役割や必要性、屋根塗装の流れなどについて解説します。
屋根塗装の役割
住宅の美観を保つ
塗装によって屋根にツヤや色を表現し、住宅の美観を保ちます。
経年劣化により色褪せてしまった屋根も屋根塗装によりもとの鮮やかな色を取り戻したり、違う色を塗装して雰囲気を変えたりすることもできます。
紫外線や雨から屋根を守る
屋根塗装の塗料は紫外線や雨などにより劣化し、防水機能が失われてしまいます。
定期的に塗り替えを行うことで建物を紫外線や風雨から保護できます。
屋根塗装の必要性
屋根塗装は主に美観を保ち屋根を紫外線や雨などから守る役割を持っています。
数年経過すると屋根塗装の塗膜が劣化して保護機能が失われるため、塗装によるメンテナンスが必要になります。
屋根塗装は外壁塗装よりも劣化しやすい
屋根は外壁よりも紫外線や風雨が当たりやすい場所にあるため、外壁よりも劣化しやすい環境にあります。
また、屋根は住宅のなかで最も高い場所にあるため、状態を目で確認しにくく、気づいたときには大きく劣化していた、という場合もあります。
劣化症状が認められなくても定期的に屋根塗装をすることが大切です。
屋根塗装の塗膜が劣化すると雨漏りの危険性がある
屋根塗装の耐用年数は塗装に使用する塗料や屋根材、住宅の環境により異なります。
塗膜の耐用年数が切れて劣化すると屋根の防水機能が失われ、雨漏りなど不具合の原因となります。
雨漏りが起こると建物の柱や梁を腐食させてしまうおそれがありますので、塗膜が劣化するタイミングで屋根塗装を行い、屋根の防水機能を維持することが大切です。
屋根の種類とメンテナンス時期
化粧スレート
化粧スレートはセメントなどを材料とした板状の屋根材で、「コロニアル」や「カラーベスト」などとも呼ばれ、現代における日本の住宅では特に人気の高い屋根材です。
スレートの耐用年数は20~25年程度で、コストパフォーマンスが高い屋根材を使用したい方に向いています。
スレート屋根の塗装は7~12年おきに行うのが目安となります。
セメント瓦
セメント瓦はセメントを材料にして作る瓦素材で「モニエル瓦」とも呼びます。
粘土瓦より安く瓦屋根のデザインを取り入れられ断熱性が高い一方で、耐震性などのデメリットもあり、最近ではあまり採用されていません。
セメント瓦材の耐用年数は30年程度で、粘土瓦風の屋根を安く施工したい場合に向いています。
塗装は約10年おきに行う必要があります。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板はアルミニウムと亜鉛、シリコンでメッキ加工した鋼板素材です。
軽量で耐震性が高く、コストパフォーマンスに優れているため、金属の屋根材としては最も人気があります。
カバー工法で屋根を安くリフォームしたり、雨漏り対策を重視したい方におすすめです。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は30年程度で、塗装は10年を目安に行います。
トタン
トタンは亜鉛でメッキ加工した薄い鉄板素材です。
軽量で耐震性が高く施工費用が安いものの、耐用年数が短く錆びやすいなど、デメリットが多いため、近年ではあまり使用されなくなっています。
耐用年数は10~20年となり、5~10年おきに塗り替えや錆止めなどのメンテナンスが必要です。
粘土瓦(日本瓦)
粘土瓦は粘土を焼いて作る瓦素材で「日本瓦」「陶器瓦」「いぶし瓦」とも呼ばれ、日本家屋で古くから使われてきた屋根材です。
施工費用が高い一方で耐用年数が非常に高く50年以上はもちます。
粘土瓦は屋根塗装の必要はありません。
屋根塗装の流れ
戸建て住宅の屋根塗装にかかる工事期間は10~14日間が目安です。
天候や屋根の面積、劣化状況により工期は変動します。
屋根塗装は一般的に以下のような流れで施工します。
現場確認
施工前には施主と現場確認を行います。
現場確認では屋根の劣化箇所や劣化状況を確認し、さらに建物周辺の荷物や植木など塗装作業の妨げになりそうなものがないかを確認します。
足場の設置や施工に妨げになりそうなものがある場合、移動しても問題ないものについては移動します。
もし、植物や置物など、動かせないものがある場合は塗装業者に伝えておきましょう。
足場の設置
屋根塗装は高所作業になるため、足場の設置は必須となります。
足場業者が足場を組み立ててから、塗装業者が屋根塗装を開始します。
足場の組み立ては通常の戸建て住宅で丸1日かかります。
高圧洗浄
屋根に付着した汚れや苔、剥がれかけた塗膜を高圧洗浄器で洗い流します。
洗浄をしっかりと行わないと塗料が屋根に密着せず塗装のもちが悪くなるため、重要な工程です。
洗浄中は窓を閉め切る必要があります。
高圧洗浄のあとは屋根をしっかりと乾燥させます。
下地処理
劣化している部分を補修したり、洗浄では落としきれなった塗膜やサビを除去したりする下地処理を行います。
通常であれば1日で完了しますが、劣化箇所が多い場合は数日間かかる場合もあります。
養生
塗装しない箇所に塗料が付かないように養生します。
屋根塗装のみの場合、外壁に塗料が飛散しないよう、外壁にも養生します。
塗装(下塗り)
下塗り塗料を塗装します。
下塗り塗料は中塗り・上塗り塗料を外壁にしっかりと密着させる役割があります。
塗装(中塗り・上塗り)
中塗り・上塗り塗装を行います。
基本的には同じ塗料を2度塗りし、適切な塗膜を形成します。
スレート屋根の場合、上塗り工程のあと、縁切りという工程を行います。
縁切りとは塗料の乾燥後に屋根材の隙間を塞いでしまうことのないよう、水の通り道を確保するための作業です。
完了検査
屋根塗装がすべて終わったら完了検査を行います。
塗り残しはないか、塗料が飛散して汚れていないか、塗装の仕上がりに問題はないかをチェックします。
施主は窓やベランダ、庭などから見える範囲で確認します。
足場解体
完了検査で問題なければ足場を解体します。
足場の解体は約半日で完了します。
工事完了・引き渡し
足場を撤去したら、片付けをし、工事完了となります。
屋根塗装は外壁塗装とセットで行うとお得
屋根塗装について解説しました。
屋根塗装は外壁塗装とセットで行うのがおすすめです。
屋根塗装、外壁塗装共に足場が必要であり、足場の設置費用がかかりますので、足場を組んだ状態で屋根と外壁を同時に工事すればその分足場費用を節約できます。
さらに、天候により屋根塗装ができない場合でも外壁塗装の工程を進められる場合もあり、工事期間を有効に使えるケースもあります。
同時に工事を行えば自宅に足場が掛かっている状態も少なく済みますので、屋根塗装と外壁塗装はできるだけタイミングを合わせると負担を軽減できます。