外壁塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本です。
厚みを持たせるために多く重ね塗りした方が良いように思えますが、一概にそうとは言えず、3回塗りが推奨されています。
そのため、適切な工程で塗装してくれる業者を選ぶことがポイントとなります。
今回は、外壁塗装を3回重ね塗りする理由と、それぞれの工程の役割について解説します。
外壁塗装は3回の重ね塗りが基本
外壁塗装の工程は3回塗りが基本です。
3回塗りとは「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回、塗料を重ね塗りすることを言います。
3回塗りという回数は、各メーカーが塗料の効果が発揮できる重ね塗りの回数を指定しているところからきています。
それぞれの工程で目的が異なるため、重ね塗りは重要です。
ただし、例外としてサイディングなどに施工するクリア塗装は、2回塗りで仕上げることがあります。
これは透明の塗料を塗るため、下地塗りが不要となるためです。
4回塗り、5回塗りをする場合とは
外壁塗装は多く重ね塗りすれば良いというわけではありませんので、基本的に4回塗り、5回塗りをしてしまうとかえって塗料の効果を十分に発揮できない場合があります。
しかし、下地の状態などによっては塗装業者に4回塗り、5回塗りを提案される場合があります。
4回塗りのパターンには2種類あり、下塗りを2回行う場合と中塗りを2回行う場合があります。
特に下塗りは傷んだ外壁の修復も兼ねていますので、1回目の下塗りで外壁材の強化をはかり、2回目の下塗りで塗膜の耐久性を高める効果が期待できます。
見積もりの際に4回以上の重ね塗りを提案された場合は、理由を業者に確認するようにしましょう。
下塗りの役割
外壁の高圧洗浄、下地処理が終わり、最初の塗装工程が下塗りです。
下塗りでは専用の下塗り材を塗ります。
下塗りの目的
下塗りは外壁に前回塗装された既存塗膜の効果を消したり、中塗り・上塗り塗料の外壁への密着性を高める目的で行います。
下塗り工程を省くとその上から重ね塗りした上塗り塗料が数年で剥がれてしまう可能性があります。
塗料をしっかりと密着させるためにも省略できない重要な工程です。
下塗り塗料の種類
下塗り塗料はシーラー、プライマー、フィラーの主に3種類があります。
・シーラー
シーラーはシールが語源となっており、ひび割れなどがない外壁でよく使われます。
上塗り塗料が下地材に吸い込まれることを防ぐ役目もあり、壁面がしっかりとするため、上塗り塗料が塗りやすくなります。
シーラーはコンクリート、モルタル、石膏ボードなどの下塗りに用いられます。
・プライマー
プライマーは主に鉄やステンレス、アルミなどの鉄部に塗り、上塗り塗料を付着しやすくします。
通常、プライマーには錆止め効果はありませんが、錆止め機能を持ったプライマーも存在します。
・フィラー
外壁にヘアークラックなどの細かい亀裂や軽微な凹凸がある場合はフィラーを使って塗装面を平らにします。
特にひび割れしやすいモルタル外壁では補強効果のあるフィラーが下地材に選ばれます。
フィラーのなかでも微弾性フィラーはシーラーの塗料の密着性を高める効果とフィラーの凹凸部分を滑らかにする2つの効果を兼ね備えた下地材です。
フィラーと異なりさまざまな外壁材に塗装でき、さらに伸縮して外壁の動きに追従してひび割れを抑える効果があります。
中塗りの役割
中塗りは上塗り1回目とも呼ばれ、塗膜に十分な厚みを持たせ、平坦な塗装面を作ることが主な目的です。
中塗り塗料は上塗り塗料と同じ塗料を塗ります。
塗料は粘性があるため、1回で多くの塗料を塗装するとムラになってしまいます。
そのため、決められた量の塗料を2回塗りする必要があります。
さらに、中塗りを行うことで防汚性、防水性、遮熱性などの塗料の性能を十分に発揮できるようになります。
中塗りを省いてしまうと、外壁塗装の本来の目的である住宅に防水機能を持たせたり、紫外線から家を守るといった働きができなくなり、場合によっては塗装後数年で塗膜が剥がれるなどの不具合が発生することもあります。
中塗りは悪徳業者に省略されやすい部分ですので注意が必要です。
上塗りの役割
上塗りは上塗り2回目とも呼ばれ、塗装工程の最後に行う、表面を塗る作業のことです。
塗料を重ねて塗膜を厚くし、十分な耐久性を持たせます。
また、上塗りは仕上げ塗りとなり、外壁の美観を向上させます。
確実な回数を塗装してもらうためにはどうすれば良い?
信頼できる塗装業者であれば、塗装工程を省くことはせず、きちんと3回塗りで仕上げてくれます。
しかし、悪徳業者は回数を省略する場合があり、特に中塗りの工程を省略しようとするため注意が必要です。
適切な回数を確実に塗装してもらうための対策として、次の2つが有効です。
工事工程表を確認する
工事工程表は、塗装業者が作成する外壁塗装工事のスケジュール表です。
いつ、どのような工程で工事を行うかを明記しています。
工程表を確認して「中塗り」または「上塗り2回」の記載があるかどうか、それぞれの塗装のあと乾燥の工程があるか、確認してみてください。
また、見積書にも下塗り、中塗り、上塗りについて詳細に記載されているかもチェックするようにしましょう。
工事の進捗を確認する
工事中に工事の進捗を塗装業者に確認する方法も有効です。
工事中は現場に顔を出して進捗を確認するのも良いでしょう。
こまめに進捗を確認していれば、塗装工程を省こうとしている場合には気づきやすくなりますし、業者としても進捗を気にしている施主のお宅の手抜き工事はしにくくなります。
コミュニケーションをとれる業者と契約するのもポイント
外壁塗装は適切な回数を重ね塗りして初めて塗料の機能が発揮されます。
そのため、外壁塗装業者は適切な回数をきちんと塗装してくれる優良業者を選ぶ必要があります。
見積もりの際には見積書と塗装工程をしっかりと確認してから契約することが大切です。
また、担当者とコミュニケーションが取れていると疑問点を質問しやすく、安心して塗装を任せられます。
業者選びの際にはきちんと質問に回答してくれる業者か、担当者との相性は良いかどうかもチェックして比較検討すると失敗を防げます。