外壁塗装の下地処理「ケレン作業」とは?目的・種類・注意点
外壁塗装と言えば塗料を塗る塗装作業ですが、塗装工程と同じくらい重要な作業が下地処理です。
今回は下地処理のなかでもケレン作業の内容や種類、注意点などについて解説します。
ケレン作業とは
ケレン作業とは、主に鉄部などの錆びた部分を除去する外壁塗装の下地処理の一種です。
汚れやサビなどが付着した外壁の表面はでこぼこしています。
ケレン作業を行うことで表面を滑らかにして塗料の密着性を高めます。
ケレン作業は見た目の美しさはもちろんのこと、外壁塗装の耐久性を高めるうえで重要な工程の1つです。
ケレン作業は主に「素地調整」と「表面処理」に分けられます。
素地調整
素地調整とは外壁上の異物を取り除く作業のことです。
ケレン作業の前には高圧洗浄機で外壁上の汚れや剥がれた塗膜を取り除きます。
高圧洗浄でも落とせなかった古い塗膜や金属部のサビはケレン作業の素地調整により取り除きます。
表面処理
表面処理は外壁表面を滑らかにし、塗料が外壁に乗りやすいようにする作業です。
外壁にでこぼこがある部分を補修して平らにします。
また、金属など塗料が付着しにくい外壁材では、ヤスリなどで表面をざらつかせる「目荒らし」を行い、塗料を密着させやすくします。
外壁塗装の下地処理の流れ
外壁塗装の下地処理では次のような作業を行います。
1.高圧洗浄
高圧洗浄機で外壁表面を水洗いして汚れや古い塗膜を水流で飛ばして取り除く作業です。
2.ひび割れ補修
軽微なひび割れであれば上から外壁塗装すれば問題ありませんが、大きいひび割れの場合は補修が必要です。
ひび割れをカッターで削り、プライマーを塗布したあと、シーリング材を充填し、ヘラで平らにします。
3.ケレン
高圧洗浄のあと、ひび割れ補修と共にケレン作業を行います。
外壁の凸凹やサビをサンドペーパーなどで除去する作業です。
4.コーキング補修
サイディングやALC外壁にある目地の部分のコーキング材を打ち換える工事です。
コーキングは紫外線により劣化して割れたりサイディングボードから離れたりします。
目地を新しくすることで外壁に防水効果を持たせるだけでなく、地震の揺れを緩和させて外壁材を守ることができます。
5.目止め
素地の表面が粗い場合や微細な穴があるときに下塗り材の塗装の前に目止め材を塗布し表面を滑らかにする作業です。
下地処理と一口に言っても外壁の状態に合わせてさまざまな工程を行います。
下地処理をしっかりと行うことで、塗膜が本来の力を発揮し、家を紫外線や風雨から守れます。
ケレン作業による下地処理の目的
ケレン作業による下地処理の目的は主に、外壁塗装を長持ちさせることと、塗料の密着性を高めることです。
外壁塗装を長持ちさせる
サビを除去しないまま上から外壁塗装をしてしまうと、塗料が密着できないだけでなく、サビが塗膜の中で大きくなり、塗膜を突き抜けて表面に出てしまう場合があります。
また、錆びの成分が塗料の耐久性を落とし、施工してから間もなく塗膜の剥がれや浮きといった施工不良を起こしてしまうこともあります。
そのため、ケレン作業によりしっかりと下地処理を行い、サビを綺麗に取り除いたうえで塗装を行う必要があります。
塗料の密着性を高める
汚れが付着したまま外壁塗装をすると汚れによって塗料が浮いた状態になります。
塗料が浮いているとやがて塗膜が剥がれてしまいます。
剥がれが箇所から雨水が浸入すると剥がれがどんどん広がるだけでなく、剥がれた部分は外壁材がむき出しになっているため、雨漏りリスクも高まります。
丁寧にケレン作業を行い、しっかりと塗料を外壁材に密着させることで、外壁塗装を長持ちさせることが可能です。
ケレン作業の種類
ケレン作業は外壁の状態により4段階の工事があります。
数字が小さいほど工事の規模が大きくなり、工事費用も高くなります。
1種ケレン
通常は公共道路などの補修工事で行われるケレン作業で、一般住宅で行われることはまずありません。
機械を使用して行うブラスト工法という手法で、騒音と粉塵が多いため、住宅街には適していません。
2種ケレン
外壁のサビや汚れが特にひどい状態のときに行います。
機械を使用するため、住宅街にはあまり向いておらず、外壁の汚れの状態によりやむを得ず行う作業です。
3種ケレン
電動ブラシなどを使い手作業で行うケレンです。
最も一般的なケレン作業で、外壁に汚れやサビ、塗膜の剥がれなどが確認できる状態のときに行います。
4種ケレン
汚れやサビがほとんどない外壁に行うケレン作業です。
外壁表面の凹凸を紙やすりなどを使って磨き、整える作業です。
ケレン作業の費用の目安
一般的な戸建て住宅の場合、外壁塗装でかかるケレン作業の料金の目安は2~4万円です。
ただし、ケレン作業の費用は外壁の状態によって大きく異なります。
例えば外壁の広範囲にサビが及んでいる場合は、ケレン作業の費用が10万円以上になる場合もあります。
見積もりの際はケレン作業が含まれているかチェックする
ケレン作業は重要な工程ですので、外壁塗装の見積りを依頼した際、見積書の工事内容にケレン作業が記載されているか確認しましょう。
見積書にケレン作業が含まれていない場合、手抜き工事の可能性がありますので注意が必要です。
ケレン作業が見積書に記載されていない場合は一度確認するようにしましょう。
外壁が非常に良い状態など、何か理由があってケレン作業を行わないのであれば特に問題ありませんが、曖昧な返答であったり、外壁に劣化が現れているのに不要という場合には十分注意しましょう。
悪徳業者にひっかからないようにするには、2~3社から相見積りを取り、見積り内容を十分に比較検討するのがおすすめです。
また、事前に業者のホームページをチェックして、料金について明確な記載があるか、施工事例が多く掲載されているかを確認すると判断材料の1つとして役立ちます。
ケレン作業が大掛かりになる前に外壁塗装を依頼する
外壁塗装の下地処理のうち、ケレン作業について解説しました。
外壁のサビがひどくなればその分大掛かりなケレン作業が必要になり、費用も高額になります。
外壁の劣化は放置せず、傷みが軽いうちに外壁塗装を行えば、ケレン作業も簡単なもので済みます。
外壁塗装は特に目立った劣化が見受けられなくても定期的に行うことが大切です。
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