外壁塗装に使われる塗料にはさまざまな種類がありますが
種類が多いためにどれを選んだら良いのか分からない、ということもあるのではないでしょうか。
そこで、外壁塗料で特に人気の塗料の種類と特徴をご紹介します。
塗料を構成する成分
塗料は顔料、樹脂、添加剤、溶剤で構成されます。
顔料
顔料は着色または無色の粉末で、塗料に色を付ける効果があります。
水、油、一般溶剤には溶けません。
厚みを付けて塗膜の増強をしたり、光沢の調整を行う顔料も存在します。
樹脂
樹脂は硬化して塗膜の主成分となります。
アクリル塗料やフッ素塗料といった塗料の種類は
この樹脂の種類が何であるかにより決定し、種類により柔軟性や耐候性が変わります。
添加剤
塗料に防カビ、防錆、凍結防止など、機能を付与する成分です。
溶剤
樹脂類を薄めるために配合されます。
溶剤は外壁に塗ると揮発して蒸発し、塗膜には残りません。
塗料の種類を決めるのは塗料の主成分となっている樹脂です。
そこで、次項からは樹脂の種類別の外壁塗料の特徴をご紹介します。
ウレタン塗料の特徴
ウレタンとはポリウレタンのことを指し
ウレタン塗料は「ポリウレタン樹脂塗料」と呼ばれることもあります。
ウレタン塗料はポリオール樹脂を主材とし、硬化剤であるイソシアネート樹脂と組み合わせて作ります。
ウレタン塗料の特徴は光沢感のある塗膜で、色鮮やかな艶仕上げに仕上がります。
また、密着性や柔軟性に優れており、コンクリートやモルタルなど
ひび割れを起こしやすい外壁におすすめです。
一方、耐用年数が約6年程度~約8年程度と耐久性が低いのがデメリットです。
住宅の塗り替えは一般的には約10年程度に1度と言われていますので
耐久性が高く塗り替え頻度を抑えたいならシリコン塗料など耐久性の高い塗料の方が安心です。
シリコン塗料の特徴
シリコン塗料は塗料の主成分である樹脂にシリコンが一定割合で含まれている物を指します。
シリコン塗料は耐久性が約8年程度~約12年程度、価格とのバランスも良く
商品のバリエーションも豊富なため、現在最も普及している塗料です。
スタンダードなシリコン塗料を選ぶお宅が多いため、迷ったらシリコン塗料を選ぶと良いでしょう。
また、雨やホコリなどの汚れを防ぐ性質があり、外壁を長期間綺麗な状態に保つことができます。
紫外線にも強いため、日光が当たりやすい場所にもよく使われます。
一方で、撥水性があるためその分外壁への密着性が低くなり
ひび割れしやすいというデメリットを持っています。
フッ素塗料の特徴
フッ素塗料とは蛍石を原料としたフッ素樹脂を配合した塗料のことです。
耐用年数が約12年程度~約20年程度と非常に耐久性・耐候性が高いのが特徴です。
大型のビルや大きな橋、飛行機などに使用されています。
フッ素塗料は価格は高価ですが、塗り替えの頻度を少なくすることができ
総合的にメンテナンスのコストを安くすることも可能です。
親水性・低摩耗性に優れ、雨と一緒に汚れを落とし、かつ汚れが付着しにくいという性質を持っています。
また、耐熱性もあり、外壁を紫外線の熱から守り、外壁の劣化を防ぐ効果があります。
一方で、一般住宅の外壁塗料としてはややコストが高すぎるというデメリットがあります。
その他、親水性が高く硬い塗膜を持っており
塗り替える際に塗料の密着を防いでしまうことがあります。
これはひび割れにもつながりやすくなりますので、外壁塗装工事の際には
塗料がきちんと密着するように適した下塗り材を選ぶ必要があります。
光触媒塗料の特徴
光触媒塗料は塗料に含まれる酸化チタンに光があたり酸素や水と反応すると
有機有害物質を二酸化炭素と水に変化させて無害化させる塗料です。
光触媒の機能で排気ガスや工場の排煙等の油を分解し、汚れの外壁への付着力を弱める効果があるほか
親水性が高く、塗膜表面に水膜をつくり建物への静電気を防ぐので塵やホコリが外壁に付着しにくくなります。
雨が降ると雨水が塗膜の表面に均一に広がるため
雨水が汚れの下に入り込んで汚れを浮かせ、雨と一緒に洗い流します。
紫外線による劣化が発生しにくいため、耐久性も約15年程度~約20年程度と高いのが特徴です。
デメリットは施工には専門性が必要な点、太陽光を利用して汚れを分解するため
日が当たらない場所では効果を発揮しません。
また、光触媒塗料はどんな汚れに対しても効果を発揮できるわけではありません。
例えば黄砂や錆び、白華現象など無機質系の汚れはセルフクリーニングが効きません。
無機塗料の特徴
無機塗料はセラミックやケイ素など鉱物が主成分の塗料です。
多くの塗料の主成分は樹脂ですが、樹脂は有機物なので紫外線に弱く、紫外線に当たると劣化していきます。
しかし、鉱物のような無機物は紫外線では劣化しません。
とはいえ、無機物だけでは外壁に張り付かず塗料にすることはできませんので
有機樹脂を配合して無機塗料として販売しています。
したがって、完全なメンテナンスフリーとは言えないものの
耐用年数約20年程度~約25年程度と耐久性の高い塗料となっています。
しかし、確かに耐久年数が長く外壁塗装の頻度を減らすことができるとは言っても
一般住宅にはややオーバースペックであると言えます。
外壁は劣化していなくても雨樋など付帯する別の部分は
劣化して塗り替えの必要が出たりすると結局工事の頻度は変わらなくなり
コストが高くなってしまいます。
塗料別の耐用年数と費用相場
塗料別の耐用年数と費用相場は以下の通りです。
塗料のグレードが高くなるにつれて費用も高くなります。
・ウレタン塗料
耐用年数:約6年程度〜約8年程度
施工単価(㎡):約1,700円程度~約2,200円程度
・シリコン塗料
耐用年数:約8年程度〜約12年程度
施工単価(㎡):約2,300円程度~約3,000円程度
・フッ素塗料
耐用年数:約12年程度〜約20年程度
施工単価(㎡):約3,800円程度~約4,800円程度
・光触媒塗料
耐用年数:約15年程度〜約20年程度
施工単価(㎡):約4,200円程度~約5,000円程度
・無機塗料
耐用年数:約20年程度〜約25年程度
施工単価(㎡):約4,500円程度~約5,500円程度
費用と機能をから自宅の建物に合った塗料を選びましょう
塗料にはさまざまな種類がありますが
一概に高いから良い、安いから悪いとは言えません。
それぞれメリットとデメリットがありますので
自宅の立地や想定している外壁塗装の塗り替えの頻度、予算などと併せて考えるようにしましょう。
例えば日の当たらない面が多い家では光触媒塗料は機能が発揮しにくく
効果を実感しにくいかもしれません。
外壁塗装は屋根塗装や付帯部分の塗装を一緒に行った方が効率が良いので
それぞれのタイミングが合うように塗料を選ぶことも大切です。
塗料はそれぞれの建物に適切なものを選ぶのがコストパフォーマンス的にも良いので
塗装業者に相談しながら選ぶのがおすすめです。