外壁は定期的に外壁塗装を行わないとひび割れなどの劣化症状につながる恐れがあります。
また、地震など別の要因でひび割れを起こすこともあり、早急な補修が必要です。
この記事では、国内の住宅で特に多く採用されている窯業系サイディングがひび割れする原因やひび割れを放置するリスク、ひび割れの補修方法をご紹介します。
窯業系サイディングとは
窯業系サイディングはセメントに繊維質を混ぜ、板状に形成した外壁材です。
製造工程において窯のなかで高熱処理が施されることから、「窯業系（ようぎょうけい）」と名付けられています。
ほかの外壁材と比較しても初期費用を安価に抑えられ、タイル柄や木目調、レンガ調などさまざまなデザインから選択できる点も人気の理由です。
デザイン性の高さやコスト面で非常に優れているため、日本の戸建て住宅では最も普及しています。
一方で、吸水性が高く水に弱い点が大きなデメリットです。
そのため、窯業系サイディングには外壁塗装をして防水機能を持たせています。
しかし経年により外壁塗装が劣化すると防水機能が失われて水が染み込み、ひび割れやサイディングボードの浮きなどの不具合を起こしてしまいます。
窯業系サイディング外壁がひび割れる原因
紫外線・風雨による劣化
窯業系サイディング外壁は表面を外壁塗装していますが、長期間塗料の塗り替えをしないままにしていると、塗膜が劣化して防水機能を失います。
外壁塗装が機能していないサイディングは吸水しやすく、雨の日に水を吸って膨張し、晴れて乾くと収縮するという動きを繰り返し、少しずつ負荷がかかり、あるときひび割れてしまいます。
このような紫外線が原因のひび割れは紫外線があたりやすい南面や外壁の釘周りに発生する傾向があります。
サッシの開け閉めによる振動・サッシの重み
窯業系サイディング外壁はサッシの重みでひび割れを起こすこともあります。
サッシは頻繁に開け閉めしますが、長年に渡って開閉を繰り返す衝撃で周辺のサイディングボードにダメージを与えます。
特にサッシ下側のサイディングボードは常に負荷がかかっている状態ですので、ひび割れしやすい場所です。
地震による振動
窯業系サイディングは地震に強い外壁材として知られています。
しかし、揺れが大きい地震の場合、揺れに耐えきれずサイディングボードにひびが入ってしまうこともあります。
大きな地震のあとは外壁に異常がないか点検しておくと安心です。
窯業系サイディングのひび割れを放置すると起こるリスク
外壁のひび割れは小さなものでも見つけ次第早急に補修することが大切です。
ひび割れを放置するとさまざまな不具合が発生し、家そのものの寿命を縮める原因となるためです。
ひび割れを放置すると次のようなリスクがあります。
雨漏り
ひび割れを放置しているとひびから雨水が浸入し、サイディングボードにダメージを与えるだけでなく、雨水が家の内部にまで侵入し、木材を腐食させてしまうおそれがあります。
もし、家の構造にとって重要な柱や梁が腐食してしまった場合、大規模な修繕工事が必要となり、工事費用も高額になってしまいます。
凍害現象
冬季には凍害を起こしひび割れを大きくしてしまう可能性があります。
凍害とは、小さなひび割れに浸入した水がなかで凍結して膨張し、膨らんだ氷に圧迫されてひび割れが大きくなってしまう現象です。
大きなひび割れになるとサイディングボードの張り替えが必要になる可能性もありますので、小さなひび割れでも放置は危険です。
シロアリ被害
ひび割れに水が浸入し、なかの木材が腐食したり湿った状態が続くと、シロアリリスクが高まりますので注意が必要です。
シロアリを放置すると柱などの木材が食害を受け、地震などで家が倒壊する原因となってしまいます。
補修跡によりクリヤー塗装に制限が出る
最近ではタイル調やレンガ調など、おしゃれに彩色されたサイディング外壁も多く、サイディングボードの意匠性を活かすために透明の塗料を使用するクリヤー塗装を選ぶ方も増えています。
しかし、クリヤー塗装はひび割れの補修跡も丸見えになってしまいます。
クリヤー塗装を予定している場合はひび割れが小さいうちに外壁塗装を行い補修することをおすすめします。
ひび割れの補修方法
サイディング外壁にできたひび割れの補修方法はひび割れの大きさで変わります。
軽微なひび割れなら外壁塗装で補修可能ですが、大きなひび割れの場合はひび割れを補修したうえで外壁塗装が必要です。
外壁塗装
幅0.3mm以下、深さ4mm以下のひび割れはヘアークラックと呼ばれる外壁の塗膜表面のひび割れです。
外壁材にまでひびが達していないため、外壁塗装で補修が可能です。
外壁塗装を行うことで外壁が新しい塗膜で覆われ、ひび割れが補修されるだけでなく、外壁の防水機能が復活します。
コーキングの充填＋外壁塗装
幅0.3mm以上、深さ4mm以上のひび割れは構造クラックと呼び、外壁材にまでひびが達している状態です。
構造クラックの場合、ひび割れをコーキングで埋めて補修してから外壁塗装を行います。
ひび割れの断面を専用の機械で綺麗にカットし、ひび表面にコーキングプライマーを塗布したあと、コーキングを充填します。
その上から外壁塗装をして仕上げます。
サイディングボードの部分的な張り替え
サイディングボードのひび割れがひどい場合やボードが反り返っている場合、周辺のコーキング材を剥がし、サイディングボードを取りはずし、新しいボードに交換します。
これまでと同じ模様のサイディングボードがあれば特に問題ありませんが、築十数年経っていると廃盤になっていることも多くその場合は似ているデザインのボードを選ぶことになります。
しかし状況によっては違和感を覚えることもありますので、深刻なひび割れに発展する前に外壁塗装での定期的なメンテナンスが大切です。
定期的なセルフチェックをして早めに補修する
窯業系サイディングは機能性とデザイン性が高く、人気のある外壁材です。
しかし、外壁塗装の防水機能が切れるとひび割れをはじめとしたさまざま劣化症状に繋がります。
定期的に外壁塗装工事で塗り直しを行うことはもちろん、ひび割れを見つけたら早めに外壁塗装業者に連絡し、点検を依頼することが大切です。