外壁塗装工事や屋根塗装工事で重要なのは塗料を適切に乾燥させてから次の塗料を塗装することです。
乾燥時間を守らずに次の塗料を重ねてしまうと施工不良を引き起こすリスクがあります。
その為、外壁塗装工事では塗装ごとに十分に塗料を乾燥させてから次の工程に移っています。
この記事では、外壁塗装の乾燥時間について解説します。
外壁塗装の乾燥の段階
塗料は完全乾燥するまでは4つの段階あります。
指触乾燥
外壁塗装をしてから1~2時間経過した段階は指触乾燥という段階で、塗膜に指で軽く触れたときに指に塗料が付かない程度にまで乾燥している状態です。
内部がまだ乾いていないので重ね塗りは出来ません。
半硬化乾燥
外壁塗装から数時間から1日程度経つと塗膜を軽く擦っても傷がつかない程度に乾燥している、半硬化乾燥という状態になります。
半硬化乾燥の状態になっていれば重ね塗りなどの次の工程に進むことが可能です。
各メーカーが設定している間隔時間も半硬化乾燥に近い乾燥時間になっています。
硬化乾燥
塗装後約1週間すると硬化乾燥という状態となり、塗膜を強く擦ったりしても傷が残らない段階まで乾燥しています。
塗膜の内部ではまだ硬化が続いています。
完全乾燥
最終的な乾燥段階が完全乾燥です。
塗膜の内部まで効果が完了しています。
完全乾燥するまでには外壁塗装から2週間から1ヶ月程度かかります。
外壁塗装の乾燥時間
外壁塗料の乾燥時間の目安
外壁塗装の乾燥時間は塗料により異なります。
各メーカーが定めた乾燥時間に合わせて乾燥時間をとる必要があります。
乾燥時間は塗料の種類によって異なりますが、目安としては以下となります。
気温 乾燥時間の目安
5~10℃ 8時間~
23℃ 3時間~
30℃ 2時間~
気温や湿度によって乾燥時間には幅がある
各メーカーでは気温23℃を基準に乾燥時間を設定します。
塗料は気温が高いほど乾きやすく乾燥時間は短く、気温が低いほど乾きにくいため乾燥時間は長く設定する必要があります。
つまり、乾燥時間は気温に大きく影響されるため、春や秋など天候が暖かく湿度がそれほど高くない季節は乾燥が早い傾向があります。
気温5度未満、湿度85%以上の場合施工できない
上でもご紹介した通り、塗料の乾燥には気温と湿度が大きく関わってきます。
外壁塗装は気温が低すぎたり湿度が高すぎると乾燥不良を起こして塗装にムラができたり、塗膜の耐久性が下がる可能性があります。
そのため、厚生労働省の施工ガイドラインで「気温が5度未満、湿度が85%以上」の環境下では外壁塗装は不可となっています。
次の塗装まで間隔がありすぎても良くない
塗料メーカーでは塗り重ね乾燥時間を「3時間以上7日以内」に重ね塗りをしてください、などと表記しています。
これは塗料を乾燥させすぎてはいけないというよりも、次の工程までに時間がかかりすぎると外壁にホコリなどが付着してしまい、塗料の密着性が落ちる可能性がある、という意味合いが強くなります。
乾燥時間を守らないと施工不良を引き起こす可能性がある
外壁塗装の乾燥時間が足りなかった場合、主に
・塗装が剥がれやすくなる
・仕上がりが汚くなる
といったトラブルが発生しやすくなります。
塗料を適切に乾燥させないまま上から塗料を重ね塗りすると、塗膜の膨れや剥がれといった施工不良が発生してしまう可能性がありますので注意が必要です。
また、塗膜にヨレやムラが生じることがあるため、外壁塗装の美観も損なう可能性があります。
なかには工事期間を短縮するために塗装から十分な時間を置かずに次の塗料を重ね塗りし、1~3年後に外壁塗装の剥がれや膨れが起こるという施工不良を引き起こす業者があります。
あまりにも短期で外壁工事が終わる業者は悪徳業者の可能性がありますので、十分な乾燥時間を取り、工事に対しての説明をしっかりと行ってくれる優良業者と契約することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
外壁塗装の期間は2週間が目安
外壁塗装にかかる期間は乾燥時間も含め2週間程度が一般的です。
外壁塗装工事は以下の工程で行われます。
①近隣へのあいさつ回り、工事の準備(1日間)
②仮設足場設置、飛散防止シート設置(1日間)
③高圧洗浄(1日間)
④乾燥(1~2日間)
⑤下地処理、養生(1~2日間)
⑥塗装作業(下塗り・中塗り・上塗り)(3日間~)
⑦点検・補修(半日~)
⑧足場解体(半日~)
⑨片付け・撤収(半日~)
外壁塗装では高圧洗浄と3回塗りの各工程ごとに十分な乾燥が必要です。
悪徳業者は特に乾燥時間を短縮させたり、中塗り工程を省いて工事期間や費用を抑えています。
乾燥時間は手抜きしやすい場所ですので、外壁塗装の工事期間が7日以内などあまりにも短い工期の業者には十分注意が必要です。
外壁塗装が乾燥するまでの注意点
塗料が乾燥するまで、注意しておきたい点がいくつかあります。
いつものクセでついしてしまうこともありますので、家族全員で気を付けることが大切です。
物を立てかけない
外壁塗装のためにどけていた物を作業が終わったからといって、完全に乾燥する前に壁に立て掛けてしまうと塗装面の剥がれや凹みの原因となってしまいます。
傘などのビニール部分は水性弾性塗料の塗膜につくと一体化しやすい可塑剤が使用されているため、傘をどけるときに塗膜ごとはがれてしまう可能性があります。
ちょっとした気の緩みが塗装の失敗に繋がってしまうので注意が必要です。
乾燥したか自分で確かめようとしない
塗装後、乾いているか気になってしまうこともあるかと思います。
しかし、外から見て乾いているように見えても内部は硬化されていないことがあります。
この状態で触れてしまうと外壁塗装の接地面が動いてしまい塗膜の剥がれに繋がってしまう可能性があります。
塗装が乾いているか確かめたい気持ちは分かりますが、乾燥中の外壁には触らないようにしましょう。
外壁塗装では乾燥時間を確保することが重要
外壁塗装では乾燥時間を守ることは非常に重要なことです。
外壁塗装工事を早く終わらせてもらいたいというのは多くの方が思うことですが、乾燥時間を守らないことによって施工不良に繋がってしまうおそれがあります。
塗料の乾燥時間は気温や湿度に影響されますので、天候に合わせて乾燥時間も左右されます。
塗装業者選びの際はあまりにも短期間で外壁塗装が終わる業者は避け、工事の工程に関してしっかりとした説明のもと工事期間をきちんと確保している業者に依頼すると安心です。